サーフィンのテイクオフで足が前に出ない原因は?

みなさんこんにちは!湘南平塚のパーソナルジム キノスラの藤倉です。今日はこんなお悩みに答えていきます。

サーフィンのテイクオフで足を前に出そうとするとうまくできないよ。何が悪いのか教えて。解決策も知りたいな。

この記事で得られる内容
  • テイクオフで足が前に出るのを邪魔するのは体の固さ
  • 柔軟性が出れば動きは変わる
  • テイクオフをスムーズにするストレッチをご紹介

本記事の信頼性

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  • NSCAストレングス&コンディショニングスペシャリスト
  • 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー

僕はこれまでスポーツトレーナーとして、スポーツをしている人のトレーニングやケアに携わってきました。スポーツでうまくいかないことがあるとその人の身体から原因を見つけるのも僕の仕事です。

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ここが固いと足が出ない!テイクオフを邪魔する筋肉

サーフィンのテイクオフはうつ伏せの姿勢から腕立て伏せの要領で体を起こしつつ瞬発的に片足を前に出し、ボードから手を離して立ち上がります。

How the World’s Best Surfers Pop Up (Slow Motion)より

この動作がスムーズにできないと、もたついて失速の原因になったり、前を足に出せないことでサーフボードの後ろに立ってしまいノーズが持ち上がり、やはり失速の原因になってしまいます。

ですからテイクオフでしっかり足が前に出るというのはその後の動作にも大きく影響が出ることになるのです。足が前に出ない原因は色々ありますが今回は体の柔軟性について見てみましょう。

テイクオフの姿勢は波の状況によっても違いますが、ベーシックな形だと、ボードについた両手の間かやや後ろに前足をつき、後ろ足は膝の内側をボードに着くようにしてポジションを取ります。

その際前足の方に体重の大部分が乗っかっています。それによってボードは波の傾斜を降りるように進んでいきます。

テイクオフが始まってボードから手を離すまでの間はとても短いです。ですがこの時の姿勢がスムーズに取れるかどうかでテイクオフの成否が決まります。この姿勢について細かくみていきましょう。

まずは上半身についてみていきます。

足をついたポジションでは背中は丸まっていますが、目線は進む方向を見ておく必要があります。そのために頸部の柔軟性は必要そうです。

また、背骨も一部分だけカーブがきつい、という状態になってしまうとその周囲の負担が増えてしまうため背骨の上から下までが満遍なく丸くなれる、という柔軟性も大事です。

下の写真をご覧ください。

How the World’s Best Surfers Pop Up (Slow Motion)より
How the World’s Best Surfers Pop Up (Slow Motion)より

両者を比べると背中の丸まり方が違うのがわかると思います。右の選手は腰をピークにそこから上の背骨はかなりまっすぐになっているのがわかると思います。彼の場合この腰のピークの周囲の筋肉は伸ばされるストレスが強くかかるのでここに疲労が溜まりやすくなる可能性は高くなります。

次は下半身についてみてみましょう。

まずは前足。前足は後ろ足に比べて、より股関節は深く曲がっています。

この動きのことを股関節の屈曲と言いますがこれを行うためにはお尻から足にかけての後ろ側の柔軟性が欠かせません。

また、膝も強く曲がっていてそれに伴って足首は背屈という動きが強く出ています。背屈とはつま先が上に引き上がる動き。足の裏が固定されている場合は膝が前に出るほど背屈の角度は上がっていきます。

背屈をするにはふくらはぎの筋肉の柔軟性が必要です。

次は後ろ足を見てみましょう。

How the World’s Best Surfers Pop Up (Slow Motion)より

前足と同様に股関節屈曲を行なっているため同様に後ろ側の柔軟性は必要そうです。後ろ足の特徴は股関節の内旋という動きです。

膝の内側をボードに近づけるようにしているために、股関節を内側にひねる必要があるのです。そのために股関節の内旋を妨げるような筋肉が柔軟性を保っていなければなりません。足首はそこまで強く背屈していないようです。

COMO PONERSE de PIE EN una TABLA DE SURF – TAKE OFF SURF OFICIAL -より

テイクオフ時の体の動きがなんとなくイメージできたでしょうか。それでは一つ一つ筋肉にフォーカスしてみましょう。

上半身の柔軟性

・脊柱起立筋

目線が前を向くために頸部の柔軟性が必要です。テイクオフ時、上半身は全体に前に傾いています。おじぎしている状態ですね。ここから目線を前に向けると、相対的に首は上を向くのと同じことになります。首は前にも後ろにも筋肉があります。僕の経験的に前の筋肉が固すぎて上を向くことができないと言った人にはお会いしたことがありません。むしろ首や背中の後ろの筋肉が固くて後ろに詰まりが生じて上を向くことができないという人の方が多いです。ですから首の柔軟性に関していえば、脊柱起立筋と言われる背骨の上から下まで連なっている筋肉の柔軟性を向上させるとスムーズに前を向くことができるはずです。

また、脊柱起立筋は背中を丸めるための柔軟性にも関係しています。バランスよく全体に柔軟性があれば背中を丸めた時に綺麗なカーブを描くことができますが、どこかしらが固いと部分的にカーブが強くなってしまいます。これを回避するためにはこの筋肉全体が柔軟性を保つ必要があります。

前足の柔軟性

・大臀筋

大臀筋は骨盤から太ももの骨まで伸びている筋肉です。ここが柔らかくなると股関節は深く屈曲することができるようになります。デスクワークが多い人などはここが固まっている人が多い印象があります。ずっと押しつぶされている上に動いていないので血流も悪くだんだん柔軟性が損なわれてしまうのです。日本人はもともとしゃがむ動作は得意な文化を持っていました。床に座る習慣と和式トイレなどにより今よりもしゃがむという行為が頻繁に行われていたためです。ストレッチをやりたくない人は生活習慣を変えるのも一つの手かもしれませんね。

・ハムストリングス

ハムストリングスはもも裏の筋肉である、半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋の3つの筋肉の総称です。骨盤の最も下、坐骨から伸びてももの骨をまたぎ、ひざ下まで伸びているとても長い筋肉です。この筋肉も股関節の屈曲を阻害する筋肉の一つです。立位体前屈のように膝を伸ばして床に手をつけようとするとももの裏がピンと張りますよね。それがハムストリングスです。体前屈は股関節の屈曲の動きも含まれますから、ハムストリングスが固いと股関節の屈曲がうまくできないのです。

・下腿三頭筋

下腿三頭筋もふくらはぎの筋肉の総称です。ヒラメ筋と腓腹筋がこれに含まれます。ヒラメ筋は膝下の骨から踵(かかと)に伸びていて、腓腹筋は膝上から同じく踵の骨に付着しています。テイクオフでは膝は曲がっていますから主にヒラメ筋が特に足首の動きを阻害します。ですからヒラメ筋の柔軟性を向上させることで足首はより背屈できるようになります。

また、足首の硬さは骨によっても制限を受けます。足首は小さい骨が集まって関節を形成していますがその並びが少しずれるだけで関節の動きが悪くなります。ですから筋肉だけでなく骨の配列に対するアプローチも重要になります。

後ろ足の柔軟性

・股関節外旋筋群(梨状筋など)

股関節外旋筋群は股関節奥深く、骨盤と太ももの骨を結ぶ筋肉です。この筋肉は読んで字のごとく股関節の外旋、ガニ股になる動きを担っています。この筋肉が固いせいで後ろ足の内旋が妨げられてしまいます。後ろ足の内旋ができないと膝が外をむき相撲の四股のような姿勢で波に乗ることになります。この姿勢だと前足に体重が乗りづらく板をコントロールするのが難しくなります。重心が前にあった方が加速もしやすいですしね。

柔軟性が出れば動きは変わる

筋肉の柔軟性が低いとどうしても動作は遅くなったり、やりづらくなったりします。固いゴムを伸ばすのが大変なように、固い筋肉を動かすのは大変なのです。

また、ピッチピチのジーンズを履いてしゃがむのって大変ですよね。それと似たようなことが筋肉が固いと起こり得るのです。

では柔軟性が向上すれば動作は変わるのか。

基本的には変わります。動作を邪魔するものがなくなるので特にテイクオフにおける前足を出す動きはお尻やもも裏が柔らかくなってくれればかなりスムーズに動けるようになるはずです。

そうするとテイクオフの動作が速くなりますから、波に乗った後の加速もしやすくなり、サーフィンがもっと楽しくなるはずです。

ぜひストレッチやエクササイズをして柔軟性を高めてみてください。今までできなかったことができるようになるはずです。

ストレッチやエクササイズのやり方はこちらの記事で紹介しています。

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