みなさんこんにちは!湘南平塚のパーソナルジム キノスラの藤倉です。今日はこんなお悩みに答えます。
ウェイトトレーニングをやってみたいんだけど、どれくらいの重さでやればいいの?回数は何回くらい?
僕はこれまで学生やスポーツを趣味とする大人の方、プロのスポーツ選手の方を対象にトレーニングプログラムを作成し、指導してきました。その中にはもちろんウエイトトレーニングが初めての方もいました。そんな方達にその人に合ったトレーニング負荷の設定の仕方を指導するのも僕の役割でした。今回はそんな経験も含めて、基本的なことを説明していきます。
重さや回数を決める考え方を知ろう
ウェイトトレーニングにおいて、重さや回数のことをまとめて「負荷設定」と言います。そしてその負荷設定によって筋肉の反応が変わります。まずはそのことから説明していきましょう。
基本的に重さが重いほど反復できる回数が少なくなるのは想像できますよね?
5kgの重りを頭上に掲げられる回数と、20kgの重りを掲げられる回数では圧倒的に5kgの方が回数を上げられるはずです。ですから、重りが重いほど回数は少なくなり、重りが軽ければ必然的に回数は増えていきます。
ウエイトトレーニングではその目的によって以下の3つの負荷設定の仕方があります。
- 重い重り、少ない反復回数(高負荷、低回数)
- 軽い重り、多い反復回数(低負荷、高回数)
- もっと軽いおもり、かなり多い反復回数
この3つの設定の仕方には役割があります。まず①の高負荷、低回数の設定ですが、この設定の仕方によって、「最大筋力の向上」が起きると言われています。
最大筋力の向上とは、その筋肉が発揮できる最大の出力が向上するよ、ということです。そしてこの変化が起きるのは、神経系の改善によります。トレーニングをすることによって、一度に使われる筋肉の繊維の数が増えたり、動かしたい筋肉とは逆の働きをする筋肉(拮抗筋)の働きを抑制したり、神経の活動が活発化したりといった変化が起きます。これらの一連の変化が神経系の改善に含まれます。
次に②の低負荷、高回数の設定ですが、この設定では「筋肥大」に効果があると言われています。
筋肥大とは、筋肉が太くなること。
筋力を決定する因子の一つに、筋横断面積があります。筋肉を輪切りにしたときの面積ですね。それが大きいほど発揮できる筋力は大きくなります。②の設定によって筋肉が肥大し、横断面積が増加し、発揮できる筋力が向上する、というわけです。
ちなみにトレーニングを始めてから最初の1ヶ月は筋肉の発揮できる力が向上したとしても、筋肥大は起きないと言われています。この期間は主に神経系の改善によって筋力が向上し、3ヶ月くらいしてから、筋肥大が起きてきます。
最後に③の設定では、「筋持久力の向上」に効果があると言われています。
しかし、筋持久力の向上には他の方法が適していることもあり、ウェイトトレーニングでこれを達成しようという機会はあまりありません。回数でいうと20回から30回とかなりの高回数になるのでやりたい人も少ないし、時間がもったいないというのが正直なところです。ですから③の設定に関してはこれくらいにしておきます。
さて、負荷の設定で体に起きる変化が異なることを知りました。これを自分の目的に当てはめて、トレーニングの負荷設定を決めていきます。
例えば、「体重を増やしたり体を大きくしたくないけど、筋力を上げたいよ」という人は、神経系の改善を狙って、高負荷・低回数の設定でやれば、筋肥大を最小限に抑えつつも、発揮できる筋力を向上させる、という目的が達成できるはずです。
また、「体重も増やしたいし最大筋力も上げたい!」という人は、低負荷・高回数の設定でやりつつ、高負荷・低回数の設定を取り入れることで、その目的は達成されるはずです。
さて、突然ですが問題です。
Q.人間が最も重い重さを持ち上げる事ができる回数は何回でしょうか?
わかりますか?先ほど、重りが重いほど持ち上げる回数は少なくなる、というお話をしました。ですから答えは「1回」ですね。
フォームを崩さず、頑張ってギリギリ1回なんとか持ち上げられる重さが、その人が持てる最も重い重量です。その重さのことを「1RM(ワンアールエム)」と言います。RMというのはRepetition Maximumの略で1回上げられる最大重量を指します。負荷設定をしていく上で、まずはこの1RMを知ることが必要になります。
実際に1RMを持ち上げて測定しようとすると、休憩を挟みながら徐々に重りを足していき、1RMまで上げておろしてを繰り返していきます。
このやり方を「直接法」と言いますが、時間と、精神的、肉体的な疲労はそれなりに嵩みます。
一方で「間接法」というやり方は比較的安全で手取り早く行えます。直接法と比べると誤差が生じる可能性はありますが、最小限に抑えることも可能です。
この表をご覧ください。
1RMの割合と反復できる回数
%1RM | 反復できる回数 |
---|---|
100 | 1 |
95 | 2 |
93 | 3 |
90 | 4 |
87 | 5 |
85 | 6 |
83 | 7 |
80 | 8 |
77 | 9 |
75 | 10 |
70 | 11 |
67 | 12 |
65 | 15 |
この表は反復できる最大の回数が1RMに対してどれくらいの割合か、ということを示しています。例えば90kgの重さを4回持ち上げる事ができたなら、それは1RMの重さの90%の重さですから、1RMは100kgだね、と推定できるわけです。簡単ですね。
反復回数は少ないほど1RMに対する正確性は増します。10回以上の反復回数ではあまり使えないかな、と僕は思ってます。
1RMがわかったところで負荷設定の話に戻ります。
最大筋力の向上には高負荷が必要と言いましたが、ここでいう高負荷というのは1RMの85%以上の重さ。
負荷がこれだけ高いので、反復回数も6回以下になるはずです。重さが決まれば自動的に反復回数も決まります。
85%1RMの重さで正しいフォームで7回以上できてしまう場合は、1RMの推定が低く見積もられてしまった可能性が高いので、重りを足して、6回ギリギリ上げられる重さに変更した方が目的に合致したトレーニングができるはずです。
あなたの目的が筋肥大にある場合は、1RMの65〜85%くらいの重さでやるのがいいでしょう。回数は6回〜15回の間で行うことになるはずです。僕は大抵この範囲で負荷設定をするときは、8回か10回で設定する事が多いですね。
トレーニングの目的 | 重さ(%1RM) | 回数 |
---|---|---|
最大筋力向上 | ≧85 | ≦6 |
筋肥大 | 67~85 | 6~12 |
筋持久力 | ≦67 | ≧12 |
重さを増やすタイミングは?
測定したり、推定したりして得た1RMの数値を元に負荷の設定を行うわけですが、同じ重さの重りをずっと使用するわけではもちろんありません。トレーニングの経過とともに神経系の改善や、筋肥大に伴って1RMが増加するため、扱える重量が増えるからですね。
そんなときは重さを足して、今の自分にとってしっかり負荷をかけられるようにしていくわけですが、そんなときにわかりやすい指標があります。
それが、「2for2(ツーフォーツー)の法則」と呼ばれるものです。
この法則は、2回のトレーニングにおいて連続してそのエクササイズの最終セットで設定した回数よりも2回以上多く反復する事ができたなら、次のトレーニングの日には重量を追加するべき、というものです。わかりやすいですね。
足す重量は上半身の種目なら、2.5kgとか5kgずつくらいがいいんじゃないでしょうか。下半身だと少し重めに増やしていっても対応できると思います。5kgとか10kgずつくらいでも初めは増やせるはずです。
ちなみに僕はこの2for2の法則を使っているかというと、正直気にしてません。
なんとなく見ていて、「なんか重り足してもいけそうだな」と感じたら、ニヤニヤしながらそっと重りを足しています。それで様子見て行けそうならそのまま重量を増やしてトレーニングしてもらいます。
自分のトレーニングでも同様で、軽く感じてきたら足してやってみて、上がらなかったり、少しでもフォームが崩れるようなら、もう少し軽めの重りを足すか、元の重量に戻します。慣れてくればそんな風に自分の感覚でやっている人が多いんじゃないかなと思います。
まとめ
自分のトレーニングするときの重りや回数の設定が分かりましたか?
この負荷の設定をきちんとしないとトレーニング効果が得られなかったり、怪我の原因になってしまいます。負荷は軽すぎても重すぎても効率は良くありません。
せっかく時間をかけて頑張ってトレーニングしたのに効果が得られなかったら悲しいですよね。だからちゃんと今の自分にふさわしい重さを見極めてトレーニングするようにしてみてくださいね。
それと、重さを更新することも大事です。いつまでも同じ重さでやっていると、徐々に筋力は低下してしまいます。常に自分の限界に近いストレスをかけてこそ筋肉は成長してくれます。
重りを追い求めすぎる必要はありませんが効率的なトレーニングをしてほしいと思います。
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