こんにちは!湘南平塚のパーソナルジム キノスラの藤倉です。
あなたは「トリプルエクステンション」って言葉聞いたことありますか?陸上で立って行うスポーツのほぼ全てでこのトリプルエクステンションという動作がみられます。もしこの動作を強く鍛えることであなたのスポーツのパフォーマンスが向上しもっともっとあなたがスポーツで活躍することができるようになるとしたら、どうでしょう?トリプルエクステンションについて詳しく知ってみたいと思いませんか?
ちなみに記事を書いている僕は大学でスポーツ科学を専攻し、解剖学やバイオメカニクスといった、体や運動の仕組みを勉強してきました。それからトレーナーとして働きながらもたくさんのスポーツをやっている人のサポートを続けています。
トリプルエクステンションとは
トリプルエクステンションとは、3つの関節が同時に伸展(エクステンション)することを言います。
3つの関節とはすなわち、股関節、膝関節、足関節です。足関節というのは一般的にいう足首のことですね。
文章で見るより実際にやってみた方が分かりやすいと思うので一度やってみましょう。まずはしゃがみます。この時、股関節、膝、足首は全て曲がっていますね?そこから立ち上がり3つの関節を伸ばします。股関節、膝、足首が伸びると、背伸びして体がまっすぐ伸びた形になるはずです。ちゃんとつま先立ちになっていますか?
これがトリプルエクステンションです。
ちなみに厳密にいうと足関節はつま先が下に向く動きは屈曲になります。屈曲は伸展の反対なので正確には名称的にトリプルエクステンションではないのです。まあ細かいことは気にせずスポーツでの動作について見ていきましょう!
スポーツではこのトリプルエクステンションの動きが実によく見られます。
ジャンプはもちろんのこと、スプリントの動作(いわゆるダッシュ)では明らかなトリプルエクステンションが見られます。また、球技の動作でもゴルフのスイングやテニスのショット時などでトリプルエクステンションが見られます。
なぜこのように様々な競技で同じ動作を行うのでしょうか?トリプルエクステンションをおこなったり強くすることで何かスポーツにとって有益なことがあるのでしょうか。それについて次の章で詳しく見ていくことにしましょう。
トリプルエクステンションが強くなるメリット
トリプルエクステンションについて詳しく知る前に、少しだけ力のお話をしたいと思います。
まず物体は何かしら力を加えられないと動くことはないということ。つまり、人間の体も外からの力を受けることでのみ移動することができるのです。
でもこれっておかしいですよね?
人間は誰にも押されたり引かれたりしなくても自分の力で歩いています。外からの力なんか受けなくても自分の力で歩けるじゃん!そう思いますよね。
でも実は違うんです。作用反作用の法則って聞いたことありますか?小学校の授業できっと習っているはずの法則です。
1つの物体がもう1つの物体に力を加えると、同時に相手の物体から、一直線上の大きさが同じで逆向きの力を受ける。
これですね。
実は人間はこの作用反作用の力を利用して移動しているに過ぎないのです。
つまり、人間は歩く時に地面を蹴ります。そうすると地面を蹴った力と全く同じ力が地面から返されます。その力を利用して前に移動しているということです。
わかりやすくまとめてみます。
- 物体は外からの力を受けないと移動することはない。人間もそれは同じ。
- 人間は筋力を使って地面を押すことで、地面から返ってくる力を利用して移動することができる。
→人間は地面を押すことでしか移動することはできない。
正確にいうと、地球上には重力という外力もあるので落下による移動はできるのですがここでは省略します。
人間が移動するには地面を押す必要があるということは、より素早く移動したり、より遠くに移動したり、また他の物体にも力を及ぼすといった時にはその分だけ強く地面を押す必要があるということです。
さて、それではより大きな力を出すためにより強く地面を押すにはどうすれば良いでしょうか?
わかりましたか?そうです。トリプルエクステンションです。地面を押す力を最大化できる動作がこのトリプルエクステンションなのです。
理由は2つあります。ひとつ目は足の3つの関節がほぼ同時に動くということ。関節が動くということは付随する筋肉も当然動きますから、関節3つ分の筋肉が同時に力を発揮してくれる。だから大きな力を発揮できるわけです。
もうひとつの理由がポステリオールチェーンの筋肉群を使えるということ。ポステリオールチェーンとは体の背面を覆う筋肉の一連の繋がりです。この一連の筋肉は筋膜の連結によって協働して力を発揮してくれます。下肢三関節の筋肉群とポステリオールチェーンの筋肉群これらの力を同時に発揮することができるのがトリプルエクステンションなのです。
つまり、より強く地面を押すことが可能になるトリプルエクステンションの力を使うことができれば、より大きな力を発揮したり、より速く移動したり、他の物体により強い力を及ぼす必要のあるスポーツの世界ではかなり有利になるということなんです。
でも、スポーツではトリプルエクステンションばかりじゃないよね?それにトリプルエクステンションがいくら強くたって本当にスポーツに生きるの?
もちろんその通りです。スポーツの動作は他にも様々な動きが複雑に組み合わさって成り立っています。だから他の動作も同時にトレーニングしていく必要はもちろんあります。
ですが、スポーツ動作のかなり多くの部分で、下肢三関節やポステリオールチェーンの力を少なからず使っています。
例えばゴルフのドライバーショットはどちらかと言えば上半身の回旋動作に目がいきますが、実はあれも後ろ足で地面を蹴ることで前方への重心移動を起こしその勢いを上半身の回転運動へと変え、さらにはクラブヘッドへとその力を伝えているのです。
このように実は関係がなさそうな動作であっても地球上で立ってスポーツをする限り、必ず地面から返ってくる力を使っているのです。その意味でトリプルエクステンションの力を使うことをより意識することは必ず役に立ってくるはずです。
また、トリプルエクステンションの力を強くするだけでなく、生み出された力をスポーツの動作に活かすための練習も積む必要があります。
ただトリプルエクステンションが強くなっただけではそれをそのままスポーツに生かせるかというとそうでもないのが実際のところで、その強くなった力をあなたがやっているスポーツに合わせてコーディネートしていく必要があります。
ではどうすればトリプルエクステンションを強くしスポーツパフォーマンスを向上させることができるのでしょうか。
トリプルエクステンションを鍛えるには
トリプルエクステンションを強くするためにはまずポステリオールチェーンの筋肉を優位に使えるようにする必要があります。
そのためにスクワットやデッドリフトはとてもいいトレーニング種目です。また、これらのトレーニングによってトリプルエクステンションに関わる筋肉の最大筋力を向上させることができます。
また、最大筋力を向上させるだけでなく、爆発的なパワー発揮も鍛える必要があります。筋肉の出せる純粋な力に加えて、筋肉や腱の持つバネの力を合わせて発揮できた方がより強く地面を押すことができるからです。
そのためにはプライオメトリックストレーニングを追加して行い、バネの力、すなわちストレッチショートニングサイクル(SSC)の利用を学ぶ必要があります。その力が使えた方がよりスポーツの動作には生きやすいはずです。
プライオメトリックストレーニングについてはこちらの記事に詳しく書いてあります。
もしあなたに指導を受けられる環境があるのなら、ウェイトリフティングの種目をトレーニングしていくのはトリプルエクステンションを鍛える上でとても有効な手段です。
ウェイトリフティングとは、スナッチやクリーンなどといったトレーニングで、オリンピックで重量挙げの競技としてご覧になったことがある方もいるのではないでしょうか。
この種目は股関節、膝関節、足関節を爆発的に伸展させ、より重い重量を持ち上げるというものです。まさにトリプルエクステンションですね。トリプルエクステンションを鍛える上でウェイトリフティングはかなり有効な手段だと言われています。実際一流のウェイトリフターの方の垂直跳びは目を見張るものがあります。そのパワーがスポーツに生かされれば良い影響がありそうなのは明らかです。
ただウェイトリフティングに関しては素人が見様見真似でできるようなものではないと僕は思っています。だから適切な指導者のもとで練習を積む必要がありますので少しハードルは高いかもしれません。と言ってもスクワットやデッドリフトも見様見真似じゃできないんですけどね。
スクワットやデッドリフトなどのウェイトトレーニングで最大筋力を高め、プライオメトリックストレーニングでSSCを使う術を学習することで、トリプルエクステンションをより強いものにしていきます。そしてスポーツの動作にそれを生かせるようになれば、きっとあなたのスポーツパフォーマンスにはより有益な効果がもたらされるはずです。
まとめ
スポーツのパフォーマンスにとってはとても重要なトリプルエクステンションについて見てきました。
スポーツには必要だからとなんとなくスクワットをやっていた人もいるのではないでしょうか。スクワットをやる意味としてトリプルエクステンションを強くするという理由もあったんですね。
より強く地面を蹴ることができれば、より強く、速く動くことが可能になります。もしあなたがスポーツでもっとパワーが欲しい、と思っているのなら、トリプルエクステンションを鍛える、という選択肢を考慮してみるのはアリだと思います。まずは自分の関わるスポーツでトリプルエクステンションがどんなところで力を発揮しているか振り返ってみてください。
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