サーフィンのパドリングで使う筋肉ってどこ?

みなさんこんにちは!藤倉です。今回はこんな疑問にお答えします。

サーフィンのパドリングで使われる筋肉ってどの筋肉だろう?どうやったらパドルで使われる筋肉を鍛えられるかも知りたいな

この記事で得られる内容
  • サーフィンのパドリングで使う筋肉はここだ!
  • 筋肉を鍛えればパドリングは速くなる
  • パドリングで使う筋肉のトレーニング方法を紹介

本記事の信頼性

記事をかいている人:藤倉法隆

profile
  • NSCAストレングス&コンディショニングスペシャリスト
  • 日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー

僕はこれまでスポーツトレーナーとして、スポーツをしている人のトレーニングやケアに携わってきました。それぞれのスポーツ、個人に合わせたトレーニングを提供するのが僕の仕事です。

サーフィンのパドリングで使う筋肉はここだ!

パドリングでは、主に背中の筋肉が使われます。水中で水をかくために使われたり、パドル中、上半身をやや起こした状態を保つわけですが、そこでも背中の筋肉が活動しています。また、水をかくために、腕周りの筋肉も使われます。肩や腕、さらには胸の筋肉も協働して使われています。

さらに視点を広げて見てみると、パドルはサーフボードの上で、波の上を進むわけですから、体をより安定させる必要があります。そのために、お腹の筋肉や下半身の筋肉も体を固定するために使われているのでおよそ全身の筋肉が働いていると言えますね。

そもそもサーフィンにおけるパドリングは、サーフボードの上に腹ばいになり、上半身をやや起こし、ボードの横あたりの水を腕で交互にかくことによって推進力を得ています。

腕の動きは人やサーフボードの大きさによって様々ですが、肘を伸ばし頭上のあたりから海面に手を入れ始め、肘を曲げつつ体の横や下の水をかいていきます。そして手が股関節の横を通過したあたりで、海中から手を引き上げ、空中で手を頭上に戻していきます。この空中で腕を戻す動きをリカバリーと言います。そしてまた次のサイクルが始まります。

この動作はクロールにも似ていますが、異なる点は

  • 体の大部分がサーフボード上にあり水の抵抗が少ない
  • 体がクロールほどローリングしない
  • 腕を全部海中に入れることは少ない。すなわち肘はクロールに比べると曲がった状態を維持する
  • 上半身を持ち上げた状態でキープし続ける
  • 海面を進むため波の影響を受けやすい

などが挙げられるでしょうか。クロールは腕全体を使って大きく水をかくために体をローリング(体幹の回旋)させますが、サーフボード上でこれをやってしまうと、ボードが大きく揺れ水の抵抗が増えるために失速の原因になってしまいます。腕以外の部分が不必要に動かないよう固定するのが大事ということですね。

また、クロールと異なり、サーフィンのパドリングでは常に上半身を持ち上げた状態で行うために、その為の筋肉が使われる点も考慮しなければなりません。

実際に使われているであろう筋肉を見ていきましょう。

上半身を起こすために使われている筋肉

・脊柱起立筋

脊柱起立筋はいくつかの筋肉の総称ですが、背骨の脇に付いている筋肉です。この筋肉は頭の後ろから、骨盤までを覆っているので頭を持ち上げ、胸を起こし、腰をやや反らせるという動きができます。上半身を起こすという動きにはもってこいの筋肉ですね。

・大殿筋

お尻を覆っている大きな筋肉です。以外に思うかもしれませんが、上半身を起こすためにはお尻の筋肉も使われています。補助的ではありますがここが活動することで腰の筋肉の疲労をいくらか抑えることができています。

水をかくために使われている筋肉

・広背筋

腕から背中にかけてくっついている大きな筋肉である広背筋は、腕を頭上から体の横まで動かす際に活動しています。この筋肉はパドリングではかなり重要な位置付けになっているはずです。

・大胸筋

腕から胸にかけてついている筋肉で、マッチョな人がピクピク動かすあの筋肉ですね。この筋肉も水をかく動きで腕を動かすのに使われています。

・肩甲下筋

肩甲骨の前から肩に伸びている筋肉でメインは関節の固定に働く筋肉ですが、ここでは肩の関節の内旋という動きを担っています。肘が曲がっている分この動きがないとうまく水がかけません。

・上腕三頭筋

腕のいわゆる二の腕と呼ばれる部分につく筋肉ですね。この筋肉が活動すると肘が伸びます。この動きで水を後ろに押し出しています。

・上腕二頭筋

腕の上腕三頭筋の反対側につく、力こぶを形成する筋肉です。先ほどの上腕三頭筋とは逆の動きをする筋肉で、肘を曲げるために使われる筋肉です。水をかくために肘はやや曲げた状態をキープしているはずですがこの筋肉のおかげで水の抵抗に負けることなくそれができています。

・手関節屈筋、指関節屈筋

手首と指を曲げるための筋肉です。パドル中はやや手首と指を曲げた状態をキープしないと水の抵抗に負けてしまいます。そのためこれらの筋肉が固定するために働いてくれています。

リカバリーのために働いている筋肉

リカバリーとは水をかき終わった手を水中から引き上げ頭上に戻すまでの動作を言います。

・三角筋

腕の最も上に位置し、肩の関節部分を覆っている筋肉で、腕を頭上に持ち上げる動作を担っています。また、海面から手を出すために肘を高く上げる必要がありますが、この動きを行なっているのも三角筋です。というのも三角筋というのは前中後の三つの部位に分けられ、それぞれ得意な動きが違うため、正確にいうと、腕を頭上に持ち上げるのが、三角筋前部と中部の働き、それまで肩を後ろに引き続ける働きをしているのが後部というわけです。

・前鋸筋

肩甲骨と肋骨を結ぶ筋肉で、肩甲骨を前に押し出す働きを持っています。この筋肉によって腕を前に突き出すことができます。

・菱形筋

肩甲骨と背骨を結ぶ背中についている筋肉です。この筋肉が働くと肩甲骨が後ろによります。それによって肩を後ろに引くことができています。

・僧帽筋

この筋肉も前中後に分けられますが、中部の線維が肩甲骨を後ろにひく働きを持っています。

・棘下筋

肩甲骨の後面から肩に伸びている筋肉で肩の外旋という動きを担っています。これによって手が水面に潜ることなくリカバリーの動きができるようになっています。

・上腕三頭筋

ここでも登場した二の腕の筋肉ですが、腕を水中に戻す前に肘を伸ばす際にこの筋肉が使われます。

体を固定する筋肉

ここでいう体の固定には2つの役割があります。まずは安定しないサーフボードの上でバランスをとる働き。そしてもう一つが体をよりダイナミックに動かすために他の部分を固定しておく働きです。人間の体はどこかを動かす時に必ずどこかが固定していなければなりません。ぐらぐらな状態で大きな力を出すことはできないのです。そのためにより大きく強く水をかくためには他が安定していなければならないのです。

・腹直筋、腹斜筋、腹横筋

お腹周りの筋肉ですね。上半身の動きの土台になるこれらの筋肉は体を安定させるために働いています。また、腕のダイナミックな動きで体が回旋していかないように調節してくれているのもこれらの筋肉です。

・その他もろもろ

水面でバランスを取るために全身のあらゆる筋肉が協働しあっています。上に示したような大きな筋力の発揮はないものの、少しづつ力を発揮してうまく体の動きをコントロールしてくれています。

筋肉を鍛えればパドリングは速くなる

パドリングには多くの筋肉が関わっていることがわかりました。ではこれらの筋肉を鍛えたらパドリングは速くなるのかという疑問について。回答は、

速くなる可能性はある

です。

なぜなら、パドリングは水の抵抗に抗ってなおかつ水を体より後ろに押し出すことで前進することができます。速く前進するためにはより強く速く水を押せばいいのです。

パドリングに関連する筋肉を鍛えることで、より強く水を押し出すことが可能になりますし、水の中でも速く腕を動かせるようになります。だから筋肉を鍛えればパドリングは速くなると言えます。

反対に筋力がないと、水の抵抗に負けてゆっくりしか腕を動かすことができません。それでもなんとか速く動かそうとすると、水の抵抗を減らすしかありません。すなわち腕をなるべく細くするか、水の抵抗を受けないような形にして速く動かそうとしてしまいます。

これだと一度にかける水の量が減ってしまい、結果的に腕は速く動かせるけど全然前に進まないといったことが起きます。かいてもかいても前に進まない人は水の抵抗を少なくして腕を動かしている可能性があります。

ですから筋肉を鍛えて発揮できる力が大きくなれば、より多くの水を押すことができ、さらに速く腕を動かすことができるようになるために、速いパドリングが可能になるのです。

実際に似た動きであるクロールでも筋力を向上させることでスピードが上がることがわかっています。ですからパドリングを速くするのに筋肉を鍛えることは無駄ではないのです。

では反対に筋肉さえ鍛えればパドルは速くなるのかというとそうでもありません。

パドリングに必要なスキルがないとどうしたって速くはならないのです。体を安定させて、上手に水をかく。そして波の状況を読んで効率的に前に進む。強くなった筋肉を扱うスキルとこれらが合わさって初めてパドリングは速くなるのです。

時々「筋トレしたってパドリングは速くならないよ」という方がいますが、おそらくこういうところがおろそかになっていると、筋トレがムダという結論に至ってしまうのだと思います。

うまくトレーニングしてパドルのスピードを上げるのは不可能なことではないです。

パドリングで使う筋肉はどうやって鍛えればいいの?

まずはトレーニングの方法について触れる前にあなたが改善したいことや、向上させたいことを明確にするべきです。

つまり、目的をハッキリさせるということです。例えば、水の中をかくのが遅いとか、水中から腕をあげて前に出すのがいつも疲れて腕が上がらないとか。それによって鍛えるべき動きが変わってくるのでまずはこの見極めをしっかりしてみてください。

ざっくり「パドル速くしたいから鍛える」だと時間を無駄にする可能性がありますよ。

それでは動き別にみてみましょう。

上半身を起こす動きを鍛える

パドル中上半身を起こしているのが疲れる、とかサーフィンが終わった後背中や腰が痛くなるという人はこのトレーニングで改善できるかもしれません。

・デッドリフト

言わずと知れた筋トレBIG3の一角です。しゃがんだ状態から立ち上がるだけというシンプルなトレーニングですがこの種目で、体幹はもちろん、広背筋、脊柱起立筋、大殿筋、ハムストリングス(もも裏の筋肉)が鍛えられ、上半身を起こし続けることが容易になります。また重りを持つことで手関節屈筋、指関節屈筋が鍛えられ、水の抵抗に打ち勝つ手の力もトレーニングされます。

・バックエクステンション

自重(重りを持たず自分の体重)でやるならこの種目がマッチすると思います。うつ伏せに寝て、上半身を持ち上げるだけ。まさにパドルの動きと同じですね。手の位置を変えることで負荷の調整ができます。

コチラの記事でも上体を起こすことについて解説しています。

水をかく動作を鍛える

・懸垂

懸垂は広背筋を鍛えるには最高のトレーニングです。補助的に上腕二頭筋も鍛えられます。懸垂のいいところは足が地面についていないところです。そのためゆらゆら揺れるのを抑える必要があるのでより多くの筋肉に刺激が入ります。似たトレーニングでラットプルダウンがありますがこれは下半身が固定されているので少し動きは変わります。

・トライセプスエクステンション

上腕三頭筋を鍛える種目でこれによってパドルの後半、水をプッシュするのに貢献してくれます。ただし最も影響するのはTシャツを着た時です。Tシャツから剥き出た日焼けした上腕三頭筋はでかければでかいほど周囲の羨望の眼差しを集めることでしょう。サーファーならずとも鍛えるべきです。

・メディシンボールオーバーヘッドスロー

メディシンボールと呼ばれる、重たいボールを頭上から投げるトレーニングです。これによってパドリングの爆発的な力発揮がトレーニングされます。単にウェイトトレーニングだけをやるよりもこういった体の連動性や、爆発的な力発揮を使ったトレーニングを取り入れることでスポーツに生かしやすくなります。

リカバリーの動作を鍛える

・スタンディングショルダープレス

ショルダープレスは三角筋を鍛えるトレーニングで、腕を頭上にあげる力を鍛えることができます。補助的に上腕三頭筋も鍛えることができるうえ、立って行うことで、やってみればわかると思いますがめちゃめちゃ腹筋使います。同時に体幹部のトレーニングもできるサーファーのみならずスポーツをする人みんなにやってもらいたい種目です。

・キューバンプレス

棘下筋をメインに鍛える種目です。インナーマッスルでもある棘下筋は少ない負荷でちまちま鍛えるというのが定説ですが、実際には他の筋肉同様しっかり負荷をかけてダイナミックに動かすことでスポーツ中の動作に耐える強い棘下筋が育ちます。フォームをしっかり意識し、丁寧に動作を行ってみてください。肩の柔軟性向上にも貢献します。

まとめ

サーフィンのパドリングに使われる筋肉とそのトレーニング方法についてみてみました。トレーニング種目に関してはまだまだたくさんの種目がありますので今後紹介していければと思います。パドリングは筋肉を適切に鍛えていけば必ず何らかの効果が現れてくるはずです。疲れやすい場所や、向上させたい部分をしっかりと見極めてトレーニングを検討してみてください。

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