ゴルフで考える骨盤の動きの話

こんにちは!スポーツを頑張る人のトレーナー、藤倉法隆です。

ゴルフの雑誌やyoutubeなんかを観ていると「骨盤」の話ってとてもたくさん出てきますよね。正直いろんな媒体によって「骨盤を立てる」とか「骨盤を寝かせる」「骨盤を開く」「骨盤を回す」とかっていろんな表現が出てきてわかりづらくないですか?結局骨盤てどうやって動いてるんだろうって思いませんか?

結論から言うと、骨盤の動きは「左右回旋、前後傾、挙上・下制」の3方向です。あんまり聞きなれない言葉ですよね。

多くの場合、「骨盤を立てる」というと骨盤を前傾させ、「骨盤を寝かせる」というと骨盤を後傾させることを指します。「骨盤を開くとか回す」って言うのは骨盤の回旋を指していますね。

スイング動作では実際に骨盤がどう動いているのかみていくことにしましょう。

スポンサーリンク

骨盤ってなに?

骨盤の動きを説明する前に少しだけ骨盤と周辺の構造について説明させてください。

骨盤というのはお尻の奥に存在している骨の塊のことです。

形としては、真ん中にある仙骨に寛骨という骨が両サイドから挟むようにくっついてる形になってます。その仙骨と寛骨は仙腸関節という関節でつながっているので少しだけ動くことができます。開いたり閉じたり、ねじれたりしますが、ゴルフのスイングのようにダイナミックな動きからするとほとんど無視できるくらい小さな動きしかできないので仙腸関節の動きはとりあえず考えなくていいと思います。

骨盤は上に腰椎という腰の骨が乗っかっていて、さらに下の方には足の骨がくっついていてそこで股関節を作っています。

骨盤が動くと当然上下の骨も動きます。反対に上下の骨が動けば骨盤もその影響を受けます。ゴルフのスイングのように複雑な動きは骨盤と腰の骨、股関節の動作を合わせてみていくことでよりわかりやすくなっていきます。

ゴルフで骨盤はどう動くの?

さて、骨盤についてざっくりわかったところでゴルフのスイングにおいて骨盤がどう動くのかみてみましょう。

アドレス時

アドレスした時は骨盤は「前傾」しています。読んで字の如く前に傾いている状態のことですね。そしてその骨盤の傾斜に合わせて上半身も前に傾く形になっています。

一方で立った状態で上半身が倒れず骨盤だけが前傾すると、上に乗っかっている腰椎という骨は前に反るように動きます。これを腰椎の「前弯」と言います。要は腰が反っている状態ですね。

基本的に腰椎はやや前弯しているのが自然な状態ですが、これが前弯しすぎると「反り腰」ということになります。

アドレスの場合は骨盤の前傾に伴って上半身も前に倒れますから過度に反り腰になることはありませんが、それでも反ってしまう場合は骨盤が前傾しすぎているか、腰の筋肉の緊張が強すぎるといったエラーが考えられます。

骨盤が前傾している時、股関節は「屈曲」します。前に曲がった状態です。

アドレス時は骨盤が前傾してそれに伴って股関節は屈曲する。

バックスイング時

バックスイングした時も基本的に骨盤は前傾したままですが、ここに回旋が加わってきます。バックスイングすると骨盤は右の方に回ってきます。腰椎も同時に右回旋してきますね。

バックスイング時骨盤は前傾したまま右回旋する。

ダウンスイング時

ダウンスイングの前半では骨盤は前傾したままですが、インパクトか近づくにつれて股関節が伸展してきます。さっきまで曲がっていた股関節が伸びてくるということですね。

それに伴って骨盤は前傾からやや起きてきます。動作としては後傾方向に動くということです。腰の骨もフラットに近づくか、やや後ろに湾曲する後弯する人もいます。それに加えてダウンスイングでは骨盤は左回旋していきます。腰の骨も合わせて左回旋していきます。

ダウンスイング時は骨盤は後傾方向に起き上がりつつ、左回旋する。

インパクト時

インパクトでは股関節がニュートラルな(屈曲も伸展もしていない)状態に近くなるので骨盤も真っ直ぐになります。インパクトの瞬間はすでに骨盤はボールの方を向いておらず、左側、つまり飛球線方向に向いています。

腰の骨も合わせて左回旋していますが、初めて「右側屈」という動きが起きています。体が真横に倒れる動きですね。左足で地面を蹴ることによって体が真横に傾く力が生じた結果です。それに伴って骨盤もやや左側の挙上が起こります。左足の突き上げによって骨盤の左側が持ち上げられるからですね。

インパクト時骨盤は真っ直ぐに立ち、ボールに対して左側を向いている。

フォロースルー時

フォロースルーまでスイングが進むと、骨盤は真っ直ぐなまま、完全に飛球線方向を向きます。腰はやや右側屈状態をキープしていますが左回旋のスピードはかなり減少してきます。骨盤が飛球線方向に平行移動していくので、股関節は左側はニュートラルな状態になり、右股関節はやや伸展していきます。右足が後ろに残った状態になるというわけですね。

フォロースルー時骨盤は真っ直ぐで完全に飛球線方向を向く。

スイングでは骨盤が主体で動き出すわけではない

骨盤に視点をおいて動きを説明してきましたが、実際には骨盤が主体となってスイング動作を起こすわけではありません。どちらかというと「股関節の動きの結果、骨盤が前傾したり回旋する」という認識の方が正しいかもしれません。

どういうことかというと、スイングは地面を蹴って返ってきた力を利用してクラブを振り、ボールを飛ばしています。だから力を生み出しているのはあくまで足の動きです。特に股関節ですね。だから特にダウンスイングでは右の股関節が伸展するのに伴って骨盤が左回旋しつつ、後傾方向に起き上がってくる、と表現した方が力の流れ的には正しい説明になります。

だからあなたも、よりスイングスピードを高めてボールを遠くに飛ばそうと考えるのなら、「骨盤を回す」という意識よりも「右足でしっかり地面を蹴る」と意識した方がよりボールは遠くに飛んでくれるかもしれません。

まとめ

ゴルフにおけるスイング時の骨盤の動きのイメージがついたでしょうか?ゴルフをする時、自分のスイングを分析する時、ゴルフの情報を取り入れる時の参考にしてみてくださいね。

コメント