スポーツパフォーマンスを高める!RFDとは?

RFDとは?

みなさんこんにちは!藤倉です。今日はスポーツのパフォーマンスに直結するRFDというものに関して説明します。

多くのスポーツが瞬時に大きな力を発揮することを求められます。

サッカーでは速く走ったり、素早く足を振り出して強くボールを蹴ることが要求されます。ゴルフではクラブを振り下ろしてボールにインパクトするまでの短い時間でより大きな力を発揮することでボールを遠くに飛ばすことを実現しています。はたまた柔道では素早く大きな力を発揮して相手が反応する前に投げ技をかけることで勝敗が決まります。

とにかくスポーツでは素早く大きな力を出すことでより有利になるわけです。

RFDとは何か

バイオメカニクスではどれだけ素早く大きな力を発揮できるか、という指標に「力の立ち上がり率」という言葉を用います。

これは単位時間当たりにどれだけの力を発揮できるか、という数値で英語でRate of Force Developmentといいます。(以下RFD

スポーツではこのRFDを高めていくことで有利になるわけですが、もう少し説明を加えていきたいと思います。

多くのスポーツではスプリントーダッシュともいいますがー全速力で走る局面がありますね。

スプリントでは足で地面を蹴ることで前に進むための推進力を得ています。つまり、地面に足がついている間に、より大きな力を発揮して地面を蹴らなければ前には進めないわけです。

では、スプリント中の地面に足がついている時間がどれくらいか想像できますか?Zatsiorskyの研究によると、スプリント中の接地時間は0.08~0.10秒という結果が出ています。ということは1秒の10分の1にも満たない時間で自分の体重分の蹴る力を地面に伝えないといけないわけです。

一方で、自らの持つ最大の筋力を発揮するためには最低でも0.3秒の時間を必要とすると言われています。大きな力を出すには時間がかかるということですね。

グラフを見てみてください。力の発揮の様子を示したグラフです。

力発揮が0から始まり、時間の経過とともに発揮される力が増えていくのがわかると思います。仮にスプリント中に自分の体重を十分に前に運ぶことができる力を100だとします。地面に接地している時間は0.1秒ですからこの時間内に100の力を出せれば目的は達成されるわけです。

しかし、こちらのグラフのように、発揮できる最大の筋力は同一でも、0.1秒では100の力を出せない可能性もあります。

この場合自分の体重を前に運ぶのに十分な力が発揮できていないわけですから目的は達成できなくなってしまいます。

前者はRFDが高く、より速い速度でスプリントできる人、後者はRFDが低く、速度の遅いスプリントになってしまう人、ということになるわけです。

ちなみにRFDが低い走者は実際には、接地時間を延長して体を前に運ぶだけの力を出すか、接地時間は変えずにステップ長(一歩分の長さ)を短くして対処するかのどちらかになるはずです。つまり逆をいうと、RFDが高い走者は、接地時間がより短く、一度に進める距離(体を前に運ぶ距離)が長いということになりますね。

RFDがどんなものかわかったでしょうか。では次はもっと具体的にスポーツにおけるRFDを高めるメリットについてみていきましょう。

RFDを高めるメリット

RFDはトレーニングによって高めることができます。単位時間当たりに出力できる力を伸ばすことができるというわけですね。言い方を変えると、大きな力をより短時間に出力できるようになる、ということでもあります。

仮にAさんとBさんがいたとします。

Aさんは100kgの重りを持ち上げられますが、RFDが低く力を発揮するのに時間がかかります。一方Bさんは、80kgの重りしか持ち上げられませんが、RFDが高く、Aさんより素早く大きな力を発揮することができます。

両者が一斉に力を発揮するような種目、例えばスプリントや、相撲の立ち合いなどではより早く大きな力を出すことのできるBさんに軍配があがるはずです。

持っている力の大きさはAさんの方が優っているのに、Bさんが勝つことができるのは、RFDが高くより早く大きな力を発揮することができるからというわけです。

このように2人の選手を比べる場合だけでなく、テニスやバスケット、サッカーなどで生じる方向転換やカット動作を速めたり、野球のピッチングやバッティングの腕を振る速さを速くし、より強い力をボールに伝えることが可能になります。

RFDを高めることは多くのスポーツにとってメリットがあるということがわかっていただいたと思います。

さて、もしあなたがマラソンやトライアスロンなどの持久的なスポーツをやっていたとしたら、「強い力を素早く出すスポーツにはメリットがあるけど、自分のスポーツにはあまり関係ないな」って思ったかもしれません。違います。RFDを高めるメリットは持久的なスポーツにもちゃんとあるんです。

Paavolainenらが行った研究で、RFDを高めることはランニングエコノミー(ある速度で走る時の酸素の摂取量)を改善するという結果が出ている他、RFDが高ければ、筋肉が収縮する時間を短縮することができるために、疲労困憊に至るまでの時間を延長することができるという可能性もあります。

RFDを高めるとこんないいことが!
  • ラケットやバットを振る速さが速くなる→速いボールに対応できる。速い打球を打ち返すことができる
  • ゴルフクラブを振る速さが速くなる→ボールが遠くに飛ぶようになる
  • サッカーやフットサルでボールを蹴る足の動きが速くなる。強い力で蹴ることができる
  • サーフィンで波の動きにバランスを崩さなくなる
  • スプリントスピードが上がる
  • ジャンプできる高さが向上する
  • 方向転換やカット動作が速くなる
  • コンタクトプレーで大きな力が出せるようになる
  • マラソンで疲れにくくなる
  • マラソンでストライドが向上する
  • 自転車競技で足がパンプしにくくなる

RFDを高めるトレーニング

ここまで見てしまったあなたはRFDの値を高めたくなってしまったに違いありません。

Lovell DIらの研究によると、ウェイトトレーニング経験の浅い人に関していえば、高重量の負荷を用いたウェイトトレーニングをすることでRFDを向上するということがわかっています。

ジャンプやスプリントに関わる筋肉のRFDを向上させたいなら、スクワットやランジなどを行うことでRFDを高めることができるというわけですね。

一方、トレーニングを積んだある程度の筋力が備わっている人は、先述した高重量のトレーニングの他に、爆発的な筋力を発揮する、バリスティックトレーニングを行うことで大きくRFDを向上させることができるようです。

バリスティックトレーニングとは、瞬間的に大きな力を発揮するようなトレーニング様式のことを指します。代表的な例で言えば、スナッチやクリーンなどのウェイトリフティングがそれに当たります。

重量挙げ八木選手
重量挙げ八木選手 https://www.sankei.com/west/news/190617/wst1906170003-n1.html

オリンピックでよく見る重量挙げってやつですね。あれは競技としても成り立っていますが、スポーツパフォーマンスを向上させるためのトレーニングとしてもよく用いられています。

他にも比較的少ない負荷を用いたジャンプスクワットやメディシンボールスローなども瞬間的な力発揮に含まれますので、これらをトレーニングすることによってもRFDは向上します。

しかし実際にはRFDを高めるトレーニングばかりしていても、肝心の発揮できる筋力が低いままではスポーツでは有利になれません。

ですから、トレーニングを行う際は、高重量のウェイトトレーニングで最大筋力を向上しつつ、バリスティックトレーニングを併用していくことで、スポーツの際に最短の時間で最大の力を発揮できるようになるのです。

大事なのは、最大筋力RFDです。両方ともを備えたアスリートを目指して、トレーニングを実施していくようにしてください。

まとめ
  • 力の立ち上がり率(RFD)=単位時間当たりにどれだけの力を発揮できるか=どれだけ素早く大きな力を発揮できるか
  • ほとんどのスポーツでRFDが高いととても有利
  • RFDを高めるトレーニングは、
    • 高重量のウェイトトレーニング
    • バリスティックトレーニング
  • スポーツで大きな力を素早く発揮するためには
    1. 最大筋力を向上させる
    2. RFDを向上させる

    この2つのトレーニングを行なっていくべき

参考

  • G. Gregory Haff, Sophia Nimphius Training Principles for Power
  • Christopher Taber, Christopher Bellon, Heather Abbott,Garett E. Bingham Roles of Maximal Strength and Rate of Force Development in Maximizing Muscular Power
  • Zatsiorsky VM, Kraemer WJ. Science and Practice of Strength Training. Champaign